うどん屋店長の日報

飲食業専門ブログ/時々雑記(^^)

うどんが出来上がるまでの手順とは?

私は現在うどん屋の店長です。

当店は讃岐うどんを提供するお店で、本場香川県からうどん粉を仕入れています。1ヶ月に1t以上使用します。席数は12席ほどなのでそれなりに繁盛している方だと思います。

今回はうどんが出来上がるまでの工程手順をもとに美味しく作るポイントについてザッと説明しようと思います。当店は大和製作所のうどん用製麺機を使用しています。こちらを元に作ります。

もしうどん屋をやってみたい、興味がある人なら必見だと思います。

うどんは覚えてしまうとそばとかに比べると簡単ですよ。

 

1)計量する

うどん10kgと塩水を5kg用意します。

塩水は水に塩を溶かしただけです。大体水4500gに対して塩を500g入れてよく混ぜ合わせて作ります。夏場は塩を多く冬場は少なくします。粉に水分が多く含まれるからです。

お店でやる場合はボーメ計や濃度計を使って測るといいでしょう。

 

2)こねる

うどん粉をふるうためにも1分ほどよく混ぜます。ダマになっている粉があるのでふるいます。その方が塩水がよく入ります。

 

ふるったあとに塩水を入れて約5分間混ぜ合わせます。はじめのうちに9割ほどの塩水を一気にいれて混ぜ合わせます。機械でミキシングするのです。混ぜ合わさっている様子を見ながら残りの塩水をいれます。

 

基本は加水率50%前後でひと塊にならないくらいのゴツゴツした塊ができはじめます。そうすると完了です。

 

3)寝かせる

ビニール袋に生地をいれて30度位で1〜2時間寝かします。小麦粉のグルテン組織を形成化させます。簡単にいうと高温で寝かせることで生地と生地がくっついてひと塊になるのです。

夏場や熟成庫があれば最適ですが、冬の場合はお風呂や暖房の効いた部屋の室温が高い所に寝かせるのが良いでしょう。

 

4)プレスする

手打ちの場合は足踏みです。製麺機の場合はプレス機能が付いているのでプレスします。

寝かした生地にストレスを与えて強い生地にします。ここでしっかりとプレスしてコシの強い生地にします。

上から圧力をかけて平べったくしたら丸めてまた圧力をかけてを3回〜4回繰り返します。

 

5)カットして一晩寝かせる

プレスが終わったは四角形にして12カットします。つまり4×3に包丁でカットします。

約15kgの生地の塊を12カットすると1.2kgほどのブロックになります。

18℃位の涼しい室温で一晩ゆっくり寝かせます。

寝かせるとは熟成させるということです。うどん作りは生地にストレスを与えては寝かせるを繰り返します。

 

6)伸ばして切る

ブロックを平べったくプレスして伸ばします。そして麺厚3〜4㍉程度に伸ばして、折りたたんで幅5ミリ程でカットします。

必ず打ち粉をふりながら伸ばして切ります。

製麺機の場合はローラーに挟みながら好みの厚さに伸ばしていきます。手打ちの場合は麺棒を角をだしながら伸ばしていきます。

 

 

7)茹でる

カットしたら熱湯で10〜20分茹でます。

麺の厚さや太さによって茹で時間はお店によって異なります。ですが讃岐うどんの場合はだいたい15分は見ておいた方がいいです。長いと言われるかもしれませんが、よく10分ほどで茹で上げる人がいますがそれだと麺の芯の方まで火が入っていないので冷水で冷やすとなんと硬い麺になることでしょう。

 

これをコシと言う人がいますが、私から言わせるとただ茹で上がっていないだけです。

うどんというのは芯まで火を入れると水が入りグルテンの作用でもっちりと膨らみます。このもっちりとした食感が讃岐うどんなのです。

このもっちりが硬めのもっちりなのか?柔らかめのもっちりなのか?は小麦粉によります。

自店にあった小麦粉を選びましょう。これは粉屋さんと相談しながらサンプルをもらって試作していきます。

粉選びはお店の生命線です。店主の好みも大事ですがその地域のお客さんの趣向を元にして決めていきましょう。

 

8)茹で上がったらお水でよくもみ洗いします。麺に付着してある打ち粉や塩分を洗い流します。この作業は手際良く早めにします。そのあとすぐに冷水で締めます。柔らかかった麺がキュッと引き締まります。

 

冷たいぶっかけうどんや冷かけは、水を切ってからすぐに出汁をかけて提供します。なんと美味しい食感でしょう!

温かいかけうどんは再度熱湯に10秒ほどくぐらせてだしをかけます。柔らかい中にももっちりとした食感で食べることができます。

 

茹で上がったうどんの賞味期限は30分ほどです。お客さんに美味しいうどんを食べてもらいたいので30以上経過するとコシがなくなってきます。ですのでそれなりにお店が繁盛していると常にうどんを茹でている状態が続きます。

常に茹でているとうどんがすぐに提供されますのでお客さんは大満足です。

でも暇なお店だとお客さんが来てから茹でるので20分待たせることになります。そうするとお客さんはうどんに20分以上も待ってくれませんから、遅い!とクレームになって来なくなってしまいます。

そこがうどん屋の難しいところです。

 

○まとめ

うどん作りの工程は慣れてしまえば簡単ですが、小麦粉の性質をよく理解していないと失敗します。初心者の方がうどん屋を開業するときは必ずうどん教室やうどん学校、うどん屋に修行することをオススメします。

うどんは打ち立て、茹でたてが美味しいのでお客さんの入りに合わせて作っていきます。

 

たかがうどん屋とナメてかかりますと必ず失敗します。たくさん失敗した人を見てきましたが皆さん容易に考えすぎでしたね。。

うどん屋をやること、飲食業を続けることは誰でもできる訳ではなく一部のセンスのある人しか続けることができないと思います。