うどん屋店長の日報

飲食業専門ブログ/時々雑記(^^)

飲食業で一番難しい業態とは?

結論からいいますと、うどん屋に間違いありません。うどん屋と言っても店内自家製麺の本格うどん屋のことです。

 

私は飲食業23年でさまざまな業態で働きました。居酒屋、立ち飲み屋、ダイニングレストラン、ウェディングレストラン、焼肉ホルモン屋、蕎麦居酒屋、病院給食、らーめん屋などなど。

仕事は主にずっとホールの店長やマネージャーをやっていました。29歳のときに食についてもって知りたい、調理ができるようになりたいと大手外食企業を退社し栄養士専門学校に入学し2年通学し栄養士免許と調理師免許を得ました。

 

そして色々ありまして、現在うどん屋で働いています。うちのお店は香川県からうどん粉を毎月1t以上買ってお店の製麺機で自家製麺しています。おかげさまでコロナ禍のなかコロナ以前よりも売上が良いお店です。理由はテイクアウトやデリバリーが急増し認知されたからです。

 

オープンしてから6年目ですが、都内でうどん屋を開業して軌道にのせることはとても難解です。

まだまだ現在においても私の目標とする所までは達していないです。だけども業界内ではそこそこ売れている位置のうどん屋だと思います。

 

なぜうどん屋が難しいかというと第一に茹で時間に20分かかるからです。太くなればなるほど茹で時間がかかるのです。一般的なうどん店は10〜15分以内で茹で上がるようにカットされます。茹で時間を短縮した方が席回転が上がるからです。

 

しかし外食されるお客様はわざわざ細いスーパーに売っているようなうどんを食べようとは思いません。太ければ太いほど満足度が上がります。ただ太いと茹で時間が20分以上とどんどん上がるのでうどんが提供されるまで待たなければなりません。

さすがにたかが、うどんに20分以上は待てないですよね。席回転も悪くなり売上が落ちます。そしてお客さんが来なくなり廃業になるお店がたくさんあります。

 

改善策としては忙しいお店にしないといけないということです。忙しくするためにはお気軽に来店できる売価設定をしなければなりません。つまり安くするということです。香川県うどん屋が安いのはそれがまず第一の理由です。

安くと言っても利益の出る値段設定にすることです。粉の値段は市場価格に連動しますのでその度に売価を上げたり下げたりはできないので値段の付け方も難しいです。

 

そして第二に茹で上がったうどんには賞味期限があります。30分ルールがありまして30分で破棄します。うどんは茹で上がってからどんどん目に見えて劣化していきます。30分以内にお客様に提供しないと破棄になってしまいます。

 

つまり茹で時間に20分かかる上に茹でた麺は30分で破棄になるということです。

これはどういうことかと言いますと20分後に想定される客数分を20分前にあらかじめ茹でておくこと。さらに少なく茹でると足りないし多く茹ですぎると破棄になってしまう。という時間との戦いなのです。

 

うどんの繁盛店は常にうどんを茹で続けますので新鮮で美味しいうどんがすぐに食べられますので正のサイクルになります。

一方暇なうどん店は客が少ないので茹で時間に20分お待たせさせてしまい、美味しいんだけども料理が来るのが遅いから来るのはやめようとなります。かといってたくさんうどんを茹でると余ってしまい、もし古い麺をお客さんに提供すると美味しくないですし値段設定が高ければもう来ないでしょう。

 

ですから、うどんの値段を高く設定するのはよほどの付加価値がないとできません。しかも香川県のようなご当地うどんなら観光客がたくさん流れるので潤いますが、ご当地ではない都内のような場所で営業して繁盛させるのは至難の技と言えるでしょう。

特に東京はそば文化が根強いですのでなかなかうどんだけで繁盛させるのは難しくなります。うどん屋を開業してすぐの頃は「そばないの?」とよく言われて帰っていきました。。

また都内の家賃相場は人口が多い場所、駅前や商店街などは高く設定されていますので、客単価の安いうどん屋が手を出すのはなかなかハードルが高いと言えます。

 

まとめ

このように、ご当地ではない立地で本格うどん店を繁盛させ利益をつくることは大変難しいです。

飲食業のなかでもいちばん難解といっても過言ではありません。

居酒屋は調理の仕込みをしっかりして人を揃えておけば回ります。レストランは非日常が味わえる店内装飾デザインを内装し注文されたコースをお客様の食べるスピードに合わせて提供します。プロの調理師とサービスマンがいればできます。

らーめん屋の麺の茹で時間は大体3〜5分ほどですからよそにない魅力的な商品を作り上げれば繁盛店になります。

 

このように考えますと物理的に考えても、茹で時間20分、賞味期限30分、安く売るという3つの縛りを解決するという難解さは、飲食業の中でも本格うどん屋ということになるのです。

客観的に考えてもうどん屋を繁盛させることができれば大したもんだと思います。